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お久しぶりです。LSのShioriです。春が来ましたね!暖かくなり桜も咲き始め、心躍る大好きな季節です。さて、昨年から始めた投稿は今回で4回目となりました。第4回目も前回前々回と同様に「頻出するエラー」についての投稿ですが、今回は2月のGoCheckレビューで多く見られたエラーをいくつか取り上げます。実例を目にすることで新しい気づきがあるかもしれませんので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

 

誤訳 - 単語やフレーズの意味としては合っているが、文脈に合っていない

原文:During October all the marketing materials for the target markets were redesigned, to focus on the speed of action and the fact that our product works for up to 5 hours on all the symptoms of dry eye.

 

訳文:10月に、アクションの速度およびドライアイのすべての症状に対して当社の製品が最大5時間機能するという事実に焦点を当てる目的で、ターゲット市場のすべてのマーケティング材料の再デザインを行った。

 

訳例:10月に、作用の速度およびドライアイのすべての症状に対して当社の製品が最大5時間機能するという事実に焦点を当てる目的で、ターゲット市場のすべてのマーケティング材料の再デザインを行った。

 

解説:actionはさまざまな意味を持つ単語です。行動、身ぶり、アクション、方策など。しかし、例として取り上げた原文は、our product works for up to 5 hours on all the symptoms of dry eye という部分から、ドライアイの症状に対して使用する製品について書かれていることがわかります。したがって、speed of action は「作用の速度」と訳すのが正しいと判断できますね。単語の意味だけを見ると間違いではありませんが、文脈に合った訳語を選ばなければなりませんので、エラーとしてマークされています。辞書を引いてその単語が持つ意味を確認するだけでなく、文書の使用目的と文脈に合わせて適切な訳語を選びましょう。

以前の投稿でも文脈に合った訳語を選ぶ必要性について触れましたが、このようなエラーは2月にもかなり多く見られましたので、引き続き心に留めていてくださいね。

 

時制

原文:US-backed Kurdish-led fighters searched last week near a Syrian prison for Daesh group militants as nearly 30 armed extremists holed up in a small part of the jail, an informed source said.

 

訳文:情報筋によると、米国の支援を受けたクルド人部隊は、先週、30人近くの武装勢力が刑務所の一画に立てこもる中、シリアの刑務所付近でダーイシュグループの過激派を捜索しているという。

 

訳例:情報筋によると、米国の支援を受けたクルド人部隊は、先週、30人近くの武装勢力が刑務所の一画に立てこもる中、シリアの刑務所付近でダーイシュグループの過激派を捜索したという。

 

解説:原文の動詞は searched と単純過去形ですので、「捜索している」では時制が間違っていますね。「捜索した」と過去形で訳さなければなりません。ここで取り上げたのはわかりやすい例ですが、完了形の文や構文が複雑な文などは時制を正しく訳すのが難しい場合があります。同じ文に含まれる他の動詞の時制や因果関係、前後の文との関係などに注意することで、時制の間違いを減らせるかと思います。

 

訳語の不統一

原文1:Archbishop Paul Gallagher added that Pope Francis would like to visit South American countries soon.

原文2:Archbishop Paul Gallagher passed on Pope Francis’ message to Argentinian President that he always holds his homeland dear to his heart.

 

訳文1:ポール・ギャラガー大司教はフランシスコ法王が近々南米諸国訪問を望んでいると付け加えた。

訳文2:ポール・ギャラガー大司教は、アルゼンチン大統領に、「祖国を常に思っている」というフランシスコ教皇のメッセージを伝えた。

 

訳例1:ポール・ギャラガー大司教はフランシスコ教皇が近々南米諸国訪問を望んでいると付け加えた。

訳例2:ポール・ギャラガー大司教は、アルゼンチン大統領に、「祖国を常に思っている」というフランシスコ教皇のメッセージを伝えた。

 

解説:この例は、Pope Francisの訳がひとつの文書内で統一されていないため、エラーとしてマークされた例です。原則として訳語は文書内で統一していなければなりません。「ローマ法王」と「ローマ教皇」はどちらも正しい訳語ですが、現在は「ローマ教皇」の表記がより広く使われるようになったそうです(ハフポストのこちらの記事に経緯が書かれています。)長い文書を訳出する中で頻出の単語がある場合には、英単語と訳語のリストを作るなどして、表記の揺れを防ぐようにしましょう。

 

コンプライアンスエラー

原文:I will be taking at least 3 assistants on each day.

 

訳文:アシスタントは1日に人以上必要となります。

 

訳例:アシスタントは1日に3人以上必要となります。

 

解説:単語のスペルや記号の使用方法などがGengoスタイルガイドやお客さまのスタイルガイド、グロッサリーに準拠していない場合、コンプライアンスエラーとしてマークされます。この例は数字が全角になっているためエラーとなりました。2月は数字以外にも、かぎ括弧と句点の使用方法、全角記号・半角記号など、スタイルガイドに準拠していないエラーが多く見られました。GengoスタイルガイドはGengoでの翻訳の基本となるものです。定期的に見返して、コンプライアンスエラーを防ぎましょう。確認すれば防ぐことができるコンプライアンスエラーで減点になるのはとても残念です。

 

2月の頻出エラーを4つ紹介しました。2月のGoCheckレビューではここで紹介したもの以外にも、簡単に防ぐことができるエラーが多く見られました。翻訳には時間制限がつきものですが、案件を引き受ける際には訳出にかかる時間に加えて、スタイルガイドやグロッサリーを確認する時間、訳出後に一旦離れて頭をリフレッシュする時間、そして見直しにかかる時間が確保できるか計算してみてください。また、みなさんが実際にどのようなエラー対策をしているのか、コメントで聞かせていただけるとうれしいです。

1 comment

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    Shiori (EN>JA Language Specialist)

    yt5858さん

    コメントありがとうございます。確かにおっしゃるとおりですね。ご指摘ありがとうございます。

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