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普段多くの翻訳を拝見していて気になることの一つが、カタカナ語の多用です。近年はインターネットが当たり前の存在となり、ビジネスをはじめとした様々な分野で、外国語に触れる機会が増えています。とはいえ、今なお一般的には理解されづらい言葉も多く、慎重に訳語を選択する必要があります。翻訳者は、外国語に精通しているばかりに、もしくは、単に原文につられる形で、一般的な読み手にとって分かりづらい訳語を採用してしまう場合があります。

参考までに、平成25年度に文化庁が実施した「国語に関する世論調査」では、回答者の72.8%が「イノベーション」よりも「技術革新」の方が望ましいと回答しています。こうした点を念頭に、以下の例をご確認ください。

 

1. 全く意味が通じないカタカナ語

  • Cardboard: カードボード [正:段ボール]
  • Wedding band: ウェディングバンド [正:結婚指輪]

ECサイトの翻訳などで多く見られる間違いです。よくあるのは、一見馴染みのある言葉の組み合わせ(例であれば「カード+ボード」)をそのままカタカナにしてしまうパターンです。Googleの画像検索などを活用し、どんなものを示す単語なのか確認するようにしましょう。

 

2. 難解なカタカナ語

  • Radical: ラディカルな [正:急進的な、など]
  • Drastic: ドラスティックな [正:抜本的な、など]

英語が読める人にしか伝わらない、あるいは、十分に普及しているとは思われないカタカナ語です。日本語にすべきか英語にすべきか迷った場合、特別な理由がなければ日本語で訳した方が無難です。

 

3. 間違って解釈されるおそれのあるカタカナ語

  • Reasonable: リーズナブルな [正:合理的な、など]
  • Unique: ユニークな [正:独特な、唯一の、など]

日本語で誤った意味が定着しており、文脈によっては誤解を招くおそれのあるカタカナ語です。例えば、リーズナブルといえば「値段が手頃」、ユニークといえば「珍しく面白い」といったニュアンスがあります。こうした解釈が不適切な場合、別の訳語を用いるべきです。

4. 不自然な印象を与えるカタカナ語

  • Access: アクセスする [正:利用する、など]
  • Inspired: インスパイアされた [正:触発された、など]

こちらも文脈次第で不自然な印象を与えるおそれのあるカタカナ語です。例えば、「access」という単語はビジネスやITの分野で頻出の単語ですが、「The subscription opens full access to all features」といった場合、「登録により全ての機能へのアクセスがオープンになる」としてしまうと、ぎこちない印象を与えます。「登録により全ての機能が利用可能になる」などとした方がよいでしょう。

 

以上のような訳を防ぐには、普段から「カタカナ語にはリスクがある」という点を意識しておくことが重要です。とはいえ、原文のジャンル、訳文の用途、想定される読み手、普及の度合いなどを考慮した上で、カタカナ語の方が適切な場合もあります。カタカナ語の使用については、慎重を喫し、確信を持った上でご判断いただくようお願いします。

 

参考:

その他のレッスン:goo.gl/QNZ5hN

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