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こんにちは。新年度が始まって数週間、みなさんいかがお過ごしでしょうか。新しい環境での生活が始まった方々は、少しずつ慣れてきた頃でしょうか。無理せず、楽しんでくださいね。早いもので、また毎月恒例の投稿の日となりました。ついこの間先月の投稿を行ったはずなのに、あっという間に時間が経っていて驚きます。新年度ですがこの投稿ではいつも通り、頻出するエラーを見ていきます。先月の投稿をまだ読んでいない方は、こちらからどうぞ。

 

 

さて、3月のGoCheckで最も多く見られたエラーは、誤訳、付加・脱落でした。引き続きコンプライアンスエラーも出ていますので、Gengoスタイルガイドや依頼者の指示・グロッサリー等をしっかり確認しましょう。語句の構造に関するエラーもいつもより目についた印象があります。この投稿では、誤訳や語句の構造のエラー、コンプライアンスエラー、固有名詞、訳しにくい単語を取り上げます。

 

語句の構造

まずは語句の構造に関するエラーです。ビジネスメールの文末に書かれている“Kind regards”が「敬具」と訳されているのを何度か見かけました。これだけでは必ずしも間違いとは言えませんが、問題は「敬具」が「拝啓」などの頭語と必ず一緒に使われる結語だということです。”Kind regards“を「敬具」と訳すのであれば、本文は「拝啓」などで書き始めなければなりません。「前略」と「草々」も同様に、一緒に使われる言葉です。なお、ビジネスメールでは要件を伝えることが最優先と考えられているため、頭語と結語は原則使用しなくていいようです。詳しくはこちらをご参照ください。

 

誤訳

原文:The Taiwanese company has a long history in the production of semiconductors.

訳文:台湾の企業は、半導体生産の分野で長い歴史を持つ。

訳例:この台湾企業は、半導体生産の分野で長い歴史を持つ。

解説:Taiwanese companyに定冠詞のtheが付いていますので、ある特定の台湾企業について書かれているということがわかります。したがって、「この」や「その」をつけてどの企業について書かれているのかがわかるようにしなければなりません。企業名が既出の場合には、台湾の○○社は、などとしてもいいかもしれませんね。

 

コンプライアンスエラー

コンプライアンスエラーで多く見られるのが、Gengoスタイルガイドに定められたルールに従っていない記号や数字の使用です。記号はそれぞれ半角と全角どちらを使用するか決められており、数字は原則として半角の算用数字を使用します(例:×3か月 ○3か月)。かぎ括弧を使用する場合の句点の扱いにも十分注意してください。また、かぎ括弧の中にさらにかぎ括弧を使用する際には、二重かぎ括弧を使用します。

 

依頼者の指示やグロッサリーに従っていない場合も、コンプライアンスエラーとなります。これまで何度もお伝えしていますが、コンプライアンスエラーは必ず防げるエラーです。これでスコアが下がってしまうのは本当にもったいないので、コンプライアンスエラーはゼロを目指しましょう。

 

訳語の不統一

次に訳語の不統一です。全体として数は多くないですが、長い文書の翻訳にはよく見られるエラーです。ひとつの文書内に同じ単語が複数回出てくる場合には、原則として訳語を統一します。例えば、first classの訳語、「1等車」と「ファーストクラス」がひとつの文書内で混在している場合、訳語の不統一としてエラーになります。もちろん同一文書内でfirst classが繰り返し使われている場合でも、列車の「1等車」と飛行機の「ファーストクラス」で訳し分けが必要な場合はエラーにはなりません。

 

固有名詞

原文:World Court

訳文:ワールドコート

訳例:世界法廷/国際司法裁判所

解説:World Courtとは、国際司法裁判所(International Court of Justice)のことだそうです(参照)。実はこの実例を目にするまで、国際司法裁判所が世界法廷とも呼ばれることを知りませんでした。常に固有名詞の確認を怠らないようにと自分への戒めも込めて、今回こちらの例を取り上げました。もしこれ以外に複数の呼び名がある組織名などをご存知でしたら、ぜひコメント欄で教えてください。

 

最後に、個人的に訳すのが難しいと思った単語について、みなさんのご意見を聞いてみたいと思います。ちなみにこちらはエラーの実例ではありません。最近いろいろな文脈で、committedという単語が使われているのを目にする機会が多くありました。この単語、そんなに難しい単語ではないですが、使われる場面によっては結構訳しにくいと感じました。例えば、こんな文。

 

They are in a committed relationship.

 

これが独立した一文であれば、「彼らは真剣交際している」などと比較的簡単に訳せると思います。ですが、これがシビルユニオンについて書かれた文書から抜粋された、シビルユニオン(パートナーシップ)制度を利用したカップルについて書かれた一文だとしたらいかがでしょうか。みなさんだったらどのように訳しますか。「真剣交際」が最適な訳語だと思いますか?ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください。今月は以上です。それではまた来月!

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