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みなさんこんにちは。少し遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。みなさんはどのように年末年始を過ごされましたか?ドイツでは大晦日・1月1日のみ個人での花火の使用が許可されているため、年越しの瞬間はあちこちで花火が上がります。日本の花火と比べると大きさ・美しさともに劣りますが、冬に空気が澄んだ中で見る花火も悪くないなと個人的には思いました。それでは、2023年1回目の投稿です。今月は先月の投稿とは趣向を変えて、「自然な翻訳、不自然な翻訳の見分け方」というテーマでお届けします。

 

さて、「自然な翻訳」にはどのような特徴があると思いますか。美しい文章で書かれている?正しい文法が使われている?日本語を母国語とする人が読んで違和感を感じない?さまざまな意見があると思います。それでは、「不自然な翻訳」の特徴はどうでしょうか。こちらも色々な意見があると思いますが、「不自然な翻訳」の多くに共通する特徴として、英語をそのまま日本語にしたという印象を与える、が挙げられると思います。英語と日本語は文の構造が大きく異なるため、一語一句をそのまま置き換えようとすると、違和感を与える文(=不自然な翻訳)になってしまいます。

 

例えば、英語では名詞の単数形・複数形を使い分けますが、日本語には名詞の複数形はありません。このような英語と日本語の違いを頭に入れておくことで、訳文を日本語らしい文にすることができ、「自然な翻訳」ができるようになります。この投稿では、不自然な翻訳を見分け、防ぐのに役立つ、英語と日本語の代表的な違いをいくつか紹介します。翻訳やプルーフリーディングをする際には、以下の点に注意を向けてみてください。

 

  1. 所有格
  2. 主語
  3. 複数形
  4. 無生物主語
  5. 受動態

 

 

それではひとつずつ見ていきましょう。

 

  1. 所有格

原文:The restaurant is aiming to open its second location next year.

訳文1:そのレストランは、来年そのレストランの2店舗目を出すことを目指している。

訳文2:そのレストランは、来年2店舗目を出すことを目指している。

 

日本語は、所有格を省略することが非常に多い言語です。一方、英語では所有格が省略されることは稀です。ですので、原文に含まれるすべての所有格を訳出すると、不自然な印象を与える訳文になってしまう可能性があります。逆に、所有格を省略しても意味が失われない場合、省略することで日本語らしいより自然な訳文にすることが可能です。

 

  1. 主語

原文:He said, “I went to see a movie with my friends last night”.

訳文1:彼は、「私は昨日の夜私の友達と一緒に映画を見にいきました」と言った。

訳文2:彼は、「昨日の夜友達と一緒に映画を見にいきました」と言った。

 

所有格と同様、日本語の文では主語が省略されることが多い一方で、英語の文で主語が省略されるのは稀です。誤解を与えず、原文の意味が失われない程度に主語を省略すると、より自然な翻訳になります。

 

  1. 複数形

原文:Parents should understand that teachers are always busy.

訳文1:保護者たちは教師たちが常に忙しいことを理解するべきです。

訳文2:保護者は教師が常に忙しいことを理解するべきです。

 

英語の名詞には複数形がありますが、日本語の名詞にはありません。英語の複数形を無理に日本語にすることで、不自然な翻訳になる可能性があります。

 

  1. 無生物主語

原文:12:00 is when we have lunch.

訳文1:12時は私たちが昼食をとる時間です。

訳文2:(私たちは)12時に昼食をとります。

 

原文:The technology enabled us to live efficiently.

訳文1:テクノロジーは私たちが効率的に生活するのを可能にした。

訳文2:テクノロジーにより効率的な生活を送ることが可能となった。

 

英語では時、場所、物などを主語とすることが多いですが、その無生物主語を日本語の文でも主語にしようとすると、回りくどい表現になってしまうことが多いです。無生物主語の文に遭遇したら、主語を別のものに置き換えて訳出することで、不自然な翻訳を防ぎましょう。

 

  1. 受動態

原文:All homework must be submitted online.

訳文1:すべての宿題はオンラインで提出されなければならない。

訳文2:すべての宿題はオンラインで提出しなければならない。

 

受動態もそのまま日本語にすると不自然な翻訳になりやすいので気をつけましょう。受動態を自然に訳出するには、能動態に変換します。受動態は無生物主語の文で使われることも多いので、合わせて注意しましょう。

 

「不自然な翻訳」と「自然な翻訳」を見分けるのに役立つポイントを5点紹介しました。正しい文法やコロケーションを使うことが「自然な翻訳」への第一歩ですが、以上の5点に気をつけることで、より自然で伝わりやすい翻訳ができるようになると思います。今回紹介したポイント以外に、みなさんが不自然な翻訳を防ぐために気をつけていることがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。「不自然な直訳を防ぐには」というGengoのリソースで直訳を防ぐ方法も確認して、2023年はますます磨きのかかった翻訳を目指しましょう!それではまた来月!

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